ソフトタイプの化粧ポーチは通常、一枚仕立て、または薄い裏地を付けた表地、ファスナー、ラベルで構成されます。表地は材料コストの中で最も大きな割合を占め、見た目にも最も目立つため、再生素材を採用するかどうかの検討はここから始まります。
買い手はこの選択を性能の問題として捉えがちです。しかし、ソフトポーチで使う生地重量の範囲では、同等の糸から織った再生ポリエステルとバージンポリエステルの性能は近く、構造だけで結論が決まることは多くありません。重要なのは、再生原料の訴求が必要か、それを証明できるか、配色が再生原料由来のばらつきを許容できるかです。
RPETとバージンポリエステルは何が違うのか?#
どちらもポリエチレンテレフタレートです。バージンポリエステルは新しい石油化学原料を重合して製造します。RPETは回収したPETを洗浄、再溶融し、押し出して繊維にします。原料は消費後のボトルが最も一般的ですが、繊維製品や生産工程の廃棄物を使う場合もあります。
Global Recycled Standard(GRS)とRecycled Claim Standard(RCS)を管理するTextile Exchangeは、ISOの「再生」の定義に沿って再生原料を検証し、消費前原料と消費後原料の両方を認めています。下げ札では、この点が重要です。「再生」は生地の見た目を表す言葉ではなく、定義のある用語です。
一方、指定する生地構造は変わりません。300Dや600Dの平織り、PUやTPUの裏面層、撥水加工などは、原料の由来にかかわらず、仕様書に同じように記載します。記載方法はデニールについての解説を参照してください。
裁断・縫製・コーティングではどう扱うのか?#
工場では通常、両素材を同じように扱います。裁断、針、糸、縫い代は原料の由来ではなく、生地の重量と構造に合わせます。コーティングやラミネート工程でも、ポリエステルとして加工します。表地が再生素材という理由だけで工場が別構造を提案したら、理由を確認してください。根拠は「再生」という言葉ではなく、その生地の試験結果であるべきです。
差が現れる場合、その要因は素材区分そのものより、個々の生地メーカーやロットにあります。あるメーカーの再生生地が、別のメーカーのバージン生地より硬いことも柔らかいこともあります。したがって、繊維の種類だけではなく、量産に供給するメーカーの実物スワッチで比較する必要があります。
RPETの色とロット差では何に注意すべきか?#
再生チップには原料の履歴が反映されます。Textile ExchangeのCalibration 300は、未染色繊維について「原料の由来による固有の色差が生じる場合がある」としています。染色工場はその地色を補正しなければなりません。濃色や中間色では通常目立ちにくいものの、美容関連製品でよく使う淡いピンク、ヌードカラー、白では、ロット間の色ずれとして現れやすくなります。
管理のポイントは三つです。バージン生地を代用せず、実際の再生基布でラボディップを承認すること。反染めか、原着、つまり繊維段階での着色かを確認すること。そして裁断前に、新しい量産ロットを毎回マスター見本と照合することです。詳しくはラボディップと色ずれの理由で説明しています。
原着RPETでは認証書類への影響もあります。2026年12月1日から必須となるTextile ExchangeのCalibration 300は、原着を含め、いずれかの段階で染料や顔料により着色した繊維を「染色繊維」(コードPC0033)に分類します。従来、未染色として申告していた生地は、書類の修正が必要になる場合があります。
RPETを選ぶ理由が再生訴求なら、必要な書類は何か?#
再生原料の含有率を訴求するには、二つの書類が基礎になります。スコープ証明書は、その施設が対象素材を扱う認証を受けていることを示します。取引証明書は、特定の出荷品がその素材で作られたことを示します。それぞれの四つの確認項目は、再生素材の訴求を検証するための解説で紹介しています。
含有率の基準にも注意が必要です。GRSでは再生原料が20%以上なら企業間取引が可能ですが、消費者向け表示には50%以上が必要です。RCSは、GRSに付随する社会、環境、化学物質の要件を持たない、より簡素な規格です。Textile Exchangeの新しいMaterials Matter Claims and Labeling Policyはこの条件を変更します。2026年12月31日に発効し、2029年6月30日から必須となり、消費者向け訴求には認証原料を最低30%含むことを求めます。移行期間中は、どの訴求ポリシーに基づいてラベルが発行されるか、認証機関に確認してください。
規格自体も移行します。GRS 5.0とRCS 3.0は2026年7月1日に公表され、改訂版Reclaimed Material Declaration Formとともに2026年12月31日から必須になります。生地メーカーには、証明書がどの版に基づいて監査されているか、次回監査がいつかを確認します。
ご要件をお送りください。素材と構造をご提案し、実行可能なスケジュール案をご相談します。お問い合わせ →
EUと米国ではどのように表示できるのか?#
2026年9月27日から、Directive (EU) 2024/825は「環境にやさしい」などの一般的な環境訴求を禁止します。ただし、事業者が広く認められた優れた環境性能を実証できる場合は除きます。同じ媒体上で具体的内容を明確に示した訴求は、一般的な訴求には当たりません。「表地:再生ポリエステル100%」は具体的ですが、「エコポーチ」はそうではありません。
米国のFTC Green Guides(16 CFR 260.13)は、原料が廃棄物の流れから回収または転用されたものでなければ、再生原料の訴求を欺瞞的とみなします。消費前原料については、裏付けも必要です。
製品全体を考える必要があります。Textile Exchangeは、認証された部材を明示し、ファスナーなど未認証の付属品には適用範囲外である旨を記すことを推奨しています。表地がRPETでも、裏地、ファスナーテープ、引き手がバージン材なら、表示でどの部分を訴求しているか明らかにしなければなりません。
両素材は同じ試験方法でどう評価するのか?#
性能はメーカーとロットに依存するため、原料の由来にかかわらず同じ試験方法を指定し、表示ではなく結果で判断します。ソフトポーチで有用な試験項目は、次のように絞れます。
- 表地の引裂強さ。例えばISO 13937-2のトラウザー法
- 引張強さ。例えばISO 13934-1のストリップ法
- ISO 105-B02による耐光堅ろう度。強い照明のカウンターで展示するポーチに関係します
- ISO 105-X12による摩擦堅ろう度。濃色ポーチが淡色の包装材に接触する場合に関係します
撥水加工を施した生地をEU向けポーチに使うなら、REACH Annex XVII entry 79に対する試験報告書を求めます。2026年10月10日から、一般消費者向けの衣類および関連アクセサリーの繊維製品では、均質材料中のPFHxAとその塩は25 ppb未満、PFHxA関連物質は1,000 ppb未満に制限されます。法規の前文は関連アクセサリーの例としてハンドバッグを挙げています。その他の消費者向け繊維製品は2027年10月10日から対象になります。
生地メーカーには何を質問すべきか?#
表地を指定する前に、次の五つを書面で確認します。
- スコープ証明書の監査に用いた規格と版、および有効期限
- 出荷ごとに取引証明書が発行されるか、誰が申請するか
- 糸だけでなく、完成した生地に含まれる再生原料の割合
- 反染めか原着か、Calibration 300に基づいてどう申告するか
- どの加工を施しているか、均質材料ごとのPFHxA試験報告書があるか
最初の二項目に答えられなければ、生地が再生素材である可能性はあっても、その訴求を印刷することはできません。
最終的にはどう選べばよいのか?#
再生原料の訴求が要件にあり、中間色や濃色を使い、生地メーカーが有効な証明書と出荷ごとの取引証明書を用意できるならRPETを選びます。追加発注を重ねても厳密な色の連続性が必要な場合、非常に淡い色を使う場合、または訴求対象が製品のごく一部にとどまり、伝える価値よりリスクが増す場合は、バージンポリエステルが適しています。
どちらを選ぶ場合も、試作前に仕様書へ反映します。量産で使用する素材でPPS(量産前サンプル)を作るためです。
| 比較項目 | RPET(再生ポリエステル) | バージンポリエステル |
|---|---|---|
| ポリマー | PET | PET |
| 原料 | 回収PET。通常は消費後のボトル | 新しい石油化学原料 |
| 裁断・縫製・コーティング | 工程は同じ。個々のメーカーの生地で判断 | 工程は同じ |
| ロット間の色 | ばらつきが広がる場合があり、淡色で目立つ | ばらつきが比較的小さい |
| 書類 | スコープ証明書+出荷ごとの取引証明書 | 通常の材料申告書 |
| 裏付けられる訴求 | 認証を受け、基準を上回る場合の具体的な再生原料訴求 | 再生原料の訴求は不可 |
| 適する条件 | 再生訴求を含む企画、中間色・濃色 | 追加発注間の厳密な色合わせ |
| 注意点 | GRS 5.0/RCS 3.0への移行、染色・未染色の申告、訴求対象外の付属品 | いずれの生地でも、広く認められた優れた環境性能を示せない限り、EUでは一般的な「エコ」表現は禁止 |
出典#
- Textile Exchange — RCSとGRS:ISOの再生原料の定義、20%のB2B取引/50%の消費者向け表示、GRSとRCSの違い。https://textileexchange.org/recycled-claim-global-recycled-standard/(公式)
- Textile Exchange — 規格ポリシーと資料の更新:GRS 5.0/RCS 3.0は2026年7月1日公表、2026年12月31日から必須。RMDFの必須化、Calibration 300(染色・未染色、PC0033、2026年12月1日から必須)、Materials Matter Claims and Labeling Policyの30%基準、2026年12月31日発効、2029年6月30日から必須。MMSは2026年12月31日発効、2027年12月31日から必須。未認証の付属品に関する注記についてのTE-301推奨。https://hub.textileexchange.org/home/site-wide-content/standards-policy-updates(公式)
- Directive (EU) 2024/825(グリーン移行に向けた消費者の権限強化)。https://eur-lex.europa.eu/eli/dir/2024/825/oj/eng(公式。2026年9月27日の適用日は欧州委員会ECGT FAQで確認:https://commission.europa.eu/document/download/3c257883-bb2a-4dd9-a6dc-501d587bb34f_en?filename=ECGT+Directive+FAQ_update+with+CPC+Common+Understanding.pdf)
- 16 CFR § 260.13、再生原料含有率の訴求(FTC Green Guides)。https://www.law.cornell.edu/cfr/text/16/260.13(公式条文、LIIによるeCFRミラー)
- Commission Regulation (EU) 2024/2462 — REACH Annex XVII entry 79(PFHxA):25 ppb/1,000 ppb。衣類と関連アクセサリーは2026年10月10日から対象。https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2024/2462/oj/eng(公式)
- ISO 13937-2:2000、引裂強さ、トラウザー法。https://www.iso.org/standard/23370.html(公式)
- ISO 105-B02:2014、人工光に対する染色堅ろう度。https://www.iso.org/standard/65209.html(公式)
- ISO 13934-1:2013、生地の引張特性、ストリップ法。https://www.iso.org/standard/60676.html(公式)。ISO 105-X12:2016、摩擦堅ろう度。https://www.iso.org/standard/65207.html(公式)
- Textile Exchange — Calibrations Log TE-TXL-LOG-221(Calibration 300、注4(d):未染色繊維は原料由来の固有の色差を持つ場合がある)。https://textileexchange.org/app/uploads/2026/08/TE-TXL-LOG-221-V2026.8-Calibrations-Log.pdf(公式)


