ソフトグッズの案件で起きる色クレームは、ほぼすべて同じ原因に行き着きます。双方が同じ照明の下で並べて確認できる現物の色標準に、承認が紐づいていなかったということです。カラーコードはメールで数秒あれば届きますが、それをコーティングナイロン上で再現する染色処方はそうはいきません。
本稿では、化粧ポーチOEMの案件で色が実際にどのように管理されるかを解説します。Pantone TCX と TPG の違い、ラボディップとストライクオフの役割、メタメリズムが議論を呼ぶ理由、そして承認をどう記録すれば量産品が承認どおりに仕上がるかを扱います。
色標準とは何を指すのか#
色標準とは数値ではなく現物の基準です。染色工場、プリント工場、検品担当者が、管理された照明の下で生産サンプルと並べて置ける「もの」を指します。Lab 値や分光データはその現物を記述するものであり、照合の対象そのものではありません。
染色は公差を伴う化学プロセス、プリントは機械的なプロセスであり、いずれも目標色を完全には再現できません。問うべきは同一かどうかではなく、現物の色標準に対して合意した公差の範囲に入っているかです。現物の標準がなければ、すべての確認は主観の言い合いになります。
Pantone TCX と TPG:どちらを指定すべきか#
Pantone の Fashion, ホーム + Interiors システムが存在するのは、繊維製品の色を紙だけでは指定できないからです。TCX は綿布フォーマットで、コットンスウォッチカードやライブラリーとして提供され、分光データが付随します。TPG は紙に塗料を印刷したフォーマットで、Pantone は TCX の綿布色に対応するよう調色されていると説明しています。
バッグでの実務的な原則は、染色する生地や付属には TCX を指定し、TPG は参考および成形ジッパープルや硬質ケースなどの硬物部材に使うことです。紙のチップを渡して生地で合わせろと求めるのは、異なる二つの素材を目視で橋渡しさせることであり、そこから食い違いが生まれます。ブランドのパレットが TPG しかない場合は、開発着手前に書面で対応する TCX に置き換えてください。
ラボディップとストライクオフ:承認の流れ#
ラボディップは、実際に使用する生地を実験室規模の染浴で色標準どおりに染めたものです。その素材でその色が実現できるかを最初に正直に示してくれます。染色工場は通常1回の提出で複数案を出しますが、目視で最も近い処方が量産で安定して再現できるとは限らないためです。
ストライクオフはプリント側の対応物で、実際の図案・インク・生地を用い、量産前に色・見当・風合いをまとめて判断できるようにします。顔料プリント、昇華転写、無地染めでは再現できる色域が異なるため、まずプリント方式を確定してください。
いずれも量産前サンプルより前に承認してください。量産前サンプルは、すでに確定した色を前提に構造と縫製を確認する工程であり、色相を議論する場ではありません。詳しくは量産前サンプルで確認できることをご覧ください。
メタメリズム:場所を変えると色が変わる理由#
メタメリズムとは、ある光源下では一致して見える二つのサンプルが、別の光源下では明らかに違って見える現象です。使用している色材が異なる場合に生じ、分光反射率曲線が重ならずに交差するため、光源が変わるとどちらが濃く、暖かく、くすんで見えるかが入れ替わります。これはある色材系を別の色材系で合わせることの物理的な帰結であり、どの光源で判定するかを取り決めていなかったときにだけ不良になります。
ですから取り決めてください。ASTM D1729 は拡散照明された不透明材料の色および色差の目視評価に関する規格で、必要な機器と手順を定め、模擬平均昼光 D65 が CIE の推奨光源であると記しています。ISO 3664 は印刷・写真分野の観察条件を規定しています。主光源を書面で指定し、気になる副光源、たとえば現場の TL84 などの蛍光灯、白熱光源、そして製品が置かれる店舗照明を加えてください。
素材の影響:ナイロン、PU、キャンバスでの同一処方#
繊維の化学的性質が使用できる染料の種類を決め、染料の種類が再現可能な色域を決めます。ポリアミドとポリエステルでは染料が異なり、コーティングナイロンでは目と染色糸の間に層が入り、PU は染色ではなく顔料着色で、綿キャンバスは光の吸収と散乱がまた異なります。
想定しておけば結果は予測できます。光沢のある PU 付属は、同じ色番でもマットな織物より濃く鮮やかに見えます。表面反射が目に届く光を変えるためです。リップストップのような凹凸のある織物は光を散らし、かえって淡く見えることがあります。リサイクル原料も影響し、rPET はわずかな地色を帯びることがあるため、淡色やニュートラル、とくに白や薄いグレーでは注意が必要です。
色は実際に製品で使う素材の組み合わせで確認し、生地ごとにばらばらに見ないでください。素材を検討中であれば、化粧ポーチにおけるナイロンと rPET の比較が出発点として役立ちます。素材の選択が色の上限を静かに決めてしまうからです。
ロット間のばらつきと公差の決め方#
染色はバッチ工程です。浴温、浴比、処理時間、入荷する糸のロットがわずかに変動するため、連続する染色ロットにも差が出ます。大口の注文は複数ロットに分けて染められ、1つのバッグの部材が複数ロットにまたがることもあります。
そこから二点が導かれます。ロットの平均色相だけでなく、反物内の左右差・前後差も確認すべきです。さらに重要なのは、目に見える縫い目が異なるロットをつなぐことのないよう裁断することです。本体とマチの色が違って見える方が、全体がわずかに標準から外れているよりはるかに深刻です。
公差は明示してください。承認済みの色標準、判定光源、許容できるずれの方向と大きさ、必要に応じて上下限を示す現物の公差スウォッチです。そのうえでAQL 検品計画に紐づけ、色差不良の重篤度と処置を定めておきます。
量産が標準に合うようにするための承認記録#
メールのやり取りの中にある承認は、承認とは言えません。現物と記録にしてください。承認したラボディップやストライクオフは切り取り、日付を入れ、双方が署名して各自保管し、1部は生産ファイルとともに染色工場と縫製ラインに渡します。
併記する記録には、色標準の番号、承認した素材と表面仕上げ、指定した主光源と副光源、公差、承認者名、日付を残します。色の承認は部材単位です。マットなナイロン織物で承認された色は、光沢 PU、テープ、ファスナーテープ、縫い糸で承認されたことにはならず、刺繍糸・顔料プリント・型押し面は同じ色番でも見え方が異なります。
製造パートナーと正しく進めるために#
優れた色管理は才能ではなく手順であり、早い段階で見分けがつきます。どの光源で承認するかを尋ね、実際の素材で複数のラボディップを提出し、署名済みの現物基準を保管している工場は、量産が始まるずっと前に、量産をどう管理するかを示しているのです。
ROOTSMEN は 1981 年以来、化粧ポーチ、ポーチ類、トラベルオーガナイザー、ノベルティおよびライセンス商品のソフトグッズを受託生産しており、1993 年からは広東省の自社工場で生産しています。認証には FAMA(ディズニー)、ISO 9001、SMETA、GMP、BSCI などがあります。色の要求が厳しい案件をご検討でしたら、化粧ポーチとトラベルアクセサリーの対応範囲をご覧いただくか、お問い合わせからパレットと素材についてご相談ください。
| Pantone TCX | Pantone TPG | |
|---|---|---|
| 形状 | 染色した綿布のスウォッチ | 紙に印刷した塗料 |
| 位置づけ | 繊維用の色システムそのもの | TCX の色に対応するよう調色 |
| 適した用途 | 染色生地、テープ、付属、縫い糸 | デザイン参考と硬質部材 |
| 標準としての長所 | 製品と同じ媒体で、染色工場が生地対生地で合わせられる | 持ち運びやすく、複製・配布が容易 |
| 標準としての短所 | 布の基準は扱ううちに劣化・汚れが生じる | 紙と塗料は生地と異なり、変換の一段階が加わる |
| 承認での使い方 | 染色の正式な色標準として適する | 開発前に対応する TCX へ置き換えるのが望ましい |



