
クリアポーチと機内液体物ルール:設計で押さえるべき条件
透明ポーチが保安検査を通過できるかを決めるサイズ・開閉方式・素材の判断
機内持ち込み対応をうたうクリアポーチは、容量1リットル以下・透明・再封可能であることが基本です。米国TSA、欧州委員会、IATAのいずれもこの内容を示しています。個々の容器は100ml(3.4オンス)以下、旅客1名につき1袋までです。新型スキャナーを導入した一部空港では緩和されており、表現には注意が必要です。
透明なクリアポーチは、ビューティーやトラベルのラインで最もシンプルな商品に見えます。フラットなファスナーポーチにすぎません。しかし実際には、仕様をデザイナーではなく規制当局が決める数少ない布製品であり、寸法を誤ればノベルティが保安検査のトレイに置き去りにされます。
ルールは市場ごとに同一ではなく、緩和が進む空港とそうでない空港があります。棚映えする素材が、1年の旅行使用に耐える素材とは限りません。
公表されているルールの要件と、その相違点
どの公式文書にも共通するのは3点です。容器容量の制限、透明で再封可能な袋であること、そして旅客1名につき1袋であること。TSA liquids ruleは、液体・エアゾール・ジェル・クリーム・ペーストを3.4オンス(100ml)以下の容器に入れ、クォートサイズの袋に収めるとしています。ヨーロッパan Commissionは、100ml以下の容器を1リットルの透明で再封可能なプラスチック袋1つに入れ、旅客1名につき1袋と定めています。
IATAの整理も同じ内容で、各国政府がICAOのガイドラインに沿う動きを強めていると述べています。仕様が国際的に収れんしている一方、運用の厳格さには差がある理由がここにあります。
医薬品、ベビーフード、特別な食事制限に必要な液体は、いずれの規定でも対象外です。EUの免税品は保安タンパーエビデントバッグに入れ、購入証明を提示します。いずれも設計方針を変えるものではありません。1リットル・透明・再封可能が安全な目標です。
違いは袋の表現方法にあります。米国の1クォートは約0.95リットルで、1リットルとは近いものの同一ではありません。英国は寸法を明示しており、GOV.UKは1リットル以下でおよそ20cm×20cmの、透明で再封可能なプラスチック袋を1人1つとしています。
この20×20cmという数値は、バイヤーにとって最も実用的な単一の基準です。これを満たすポーチは、他地域の容量表現もほぼ確実に満たします。同時に最も見落とされやすい数値でもあります。幅24cmのポーチは写真映えしますが、唯一測定可能な基準で不合格になります。
スキャナー更新により、ルールの適用は不均一に
新世代のCT方式機内手荷物スキャナーは、液体を取り出さずに判別できます。認証を受けた空港では容量制限を緩和できます。ACI EUROPEは、EU規則の変更が欧州の空港における新世代スキャナーの運用に与えた影響を継続的に追跡しており、2024年には導入済み空港が100ml制限に戻す必要が生じた時期もありました。
GOV.UKは現在、ルールは空港によって異なり、一部空港では最大2リットルの容器が認められること、出発空港と乗継空港の双方を確認すべきことを明示しています。自社の商品コピーでも、この姿勢が誠実です。
どこでも通るサイズ設計
仕上がりの平置き寸法を20×20cm以下に設定し、マチは控えめにします。マチを大きく取ると平置き寸法は基準内に見えても内容量が1リットルを超えます。判断されるのは、中身を入れて膨らんだ状態の容量です。
サンプルは図面ではなく実際の中身を基準に作ります。100mlのボトルは想像以上に背が高く、ファスナーが閉まるかどうかを決めるのは内寸の高さです。ブランドが同梱予定のボトルで行う収まり確認は、サンプル段階で最も価値のある作業であり、量産前サンプルの承認よりはるか前に仕様書へ書き込むべき項目です。
透明性、開閉、そして「再封可能」の意味
透明とは、袋を開けずに中身が見える状態を指します。強いフロスト加工、全面プリント、濃い着色はこれを損ないます。片面の大部分を覆うプリントは、目視検査を招くこともあります。ブランド表示は縁や角にとどめてください。
再封可能とは、旅客が繰り返し開閉できることです。ファスナースライダー、プレスシール、面ファスナーのフラップはいずれも該当し、一度きりのヒートシールは該当しません。ファスナー品質は不透明ポーチ以上に重要で、ファスナー端をテープでバインディングすれば初期不良の大半を防げます。
素材の比較:PVC、TPU、EVA、PEVA
PVCは透明度が高くコストも低く、溶着しやすくプリント適性にも優れますが、紫外線で黄変し、低温で硬くなり、後述の規制上の課題を抱えます。TPUは上位の選択肢で、透明度に優れ、低温での柔軟性と引裂強度がはるかに高く、フタル酸エステル系可塑剤を使わない指定も可能です。ただしコストは高く、溶着条件の許容幅も狭くなります。
EVAは柔らかくマットで、多くはクリアではなくフロスト調です。手触りがよく型にも寛容ですが、視認性の低下は商品の目的に反します。PEVAは両者の中間で、素材方針からPVCを外したブランドが塩素フリーの代替として指定することが多い素材です。
素材の種類だけでなく厚み(ゲージ)も指定してください。薄く感じるポーチはブランドを問わず安っぽく見えますが、見積りで静かに削られやすいのがこのゲージです。同じ姿勢は、布製バージョンにも当てはまります。
バイヤーが省略すべきでないコンプライアンス項目
可塑剤を含むフィルムは化学物質規制の対象になります。REACH Annex XVIIでは、DEHP、BBP、DBP、DIBPが成形品中の可塑化材料において単独または合計で重量比0.1%以上の場合に制限されます。PVCを採用する場合は、一般的な保証ではなくこの基準値に対する試験報告書を求めてください。小売各社の化学物質方針はさらに厳格なことが少なくありません。
そのポーチが単体のアクセサリーなのか、中身の製品を入れて販売するのかを早期に決めてください。表示義務が変わります。米国・EUで化粧ポーチを販売する際のコンプライアンス書類の解説で、必要な書類一式を整理しています。
検品計画は生産後ではなく生産前に決めます。透明度、溶着強度、ファスナーの開閉耐久、仕上がり寸法はいずれも測定可能で、AQL検品計画によってこれらの確認が努力目標ではなく契約事項になります。
仕様書に書くべきこと
サイズ名称だけでなく、仕上がり平置き寸法と最大内容量を明記します。素材の種類とゲージ、可塑剤の制限、ファスナーの種類と引手、加飾方法とその面積上限、指定ボトルでの収まり確認を記載してください。寸法公差も明記します。この商品では、公差はコンプライアンスの問題だからです。
販促や購入特典のプログラムでは、ポーチの見せ方と出荷方法を先に決めてください。クリアフィルムの折りじわは、布のようには隠れません。加飾の選択については購入特典向けプリント方法の選び方で比較しています。
最後に、コピー表現には注意してください。「機内持ち込みの1リットル基準に対応」は妥当です。「TSA承認」は成立しません。袋に対してそのような承認を与える当局は存在せず、空港ごとの差がある以上、断定的な約束はいずれ誤りになります。
メーカーと進める製品開発
基準を満たす図面と、基準を満たす量産品との差は、サンプル段階で埋まります。クリア素材の実績があるメーカーであれば、マチの容量、ファスナーのバインディング、溶着幅について先に指摘してくれます。
ROOTSMENは1981年以来、化粧ポーチ、小物ポーチ、トラベルオーガナイザーをOEM/ODMで製造し、1993年からは広東省に自社工場を構え、FAMA(Disney)、ISO 9001、SMETA、GMP、BSCIの要件に沿って運営しています。小売向けまたは販促・購入特典プログラム向けの透明ポーチ、あるいはより広いトラベルアクセサリーのラインを開発される場合、当社チームが御社の寸法と素材方針に沿って対応します。プログラムについてはお気軽にご相談ください。
| 素材 | 透明度 | 低温での柔軟性 | 主な強み | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| PVC | クリア、最高水準 | 低温で硬化 | 溶着が容易、プリント再現性が高い、調達しやすい | 可塑化材料にフタル酸エステル規制が適用/紫外線で黄変/小売方針で除外される場合あり |
| TPU | クリア、高水準 | 非常に良好 | 引裂強度、繰り返しの折り曲げに強い、フタル酸エステルフリー指定が可能 | コストが高い/溶着条件の許容幅が狭い |
| EVA | フロスト調、視認性は限定的 | 良好 | 柔らかな手触り、型に寛容 | 中身の視認性が下がり、商品の目的に反する |
| PEVA | 半透明〜クリア | 良好 | 素材方針からPVCを外した場合の塩素フリー代替 | グレードにより透明度と腰が異なるため、実物スワッチでの承認が必須 |
開催概要
ブースより
よくあるご質問
案件の検討段階で、実際によく寄せられる質問。
1リットル以下を目標に設計してください。欧州委員会とIATAはいずれも1リットルの透明で再封可能な袋、TSAはクォートサイズの袋と示し、英国GOV.UKはおよそ20cm×20cmの寸法を公表しています。英国の数値に合わせたポーチであれば、他地域の容量表現も満たせます。
洗面ポーチを認証・承認する当局はありません。TSAが公表しているのは容器サイズとクォートサイズの袋に関するルールであり、製品の認証制度ではありません。販促コピーでは、存在しない承認を主張せず、容量と機能を説明してください。
できません。欧州委員会も英国GOV.UKも旅客1名につき1袋と定めており、TSAの規定も単数形で書かれています。2個セットの販売自体は問題ありませんが、2個目は預け荷物用の収納として位置づけてください。
一部の空港に限られます。認証済みの新型機内手荷物スキャナーにより特定の空港で緩和が認められ、英国GOV.UKも空港によって異なること、一部では最大2リットルの容器が可能なことを示しています。緩和は全面的ではなく撤回された例もあるため、1リットルで設計してください。
耐久性、低温での柔軟性、化学物質方針を重視するならTPU、コストとプリント再現性を優先し規制適合を確認できるならPVCです。REACH附属書XVIIでは4種のフタル酸エステルが可塑化材料中で重量比0.1%以上の場合に制限されるため、その基準に対する試験報告書を求めてください。
加飾は縁、角、小さなパネルにとどめ、袋を開けずに中身が見える状態を保ってください。全面プリントや強いフロスト加工は透明ポーチの意義を損ない、素材自体が透明でも目視検査を招くことがあります。